「僕も選んじゃおうかな」 大量の服の影に隠れてしまったキャルとアルフォードは会話しか聞こえない。それでも楽しそうなのは分かるので、やっぱり女の子だなあと、変なところで感心する。 「えーっと」 目前に並んだ服を見渡すと、今着ているのと大して変わらないフリルやらレースやらがびらっびらで、ある意味壮観だ。 「・・・もっと普通のは無いのかな」 いったいあの王様は自分をどうしたいのか。そこはかとなく疑問に思ったが、とりあえず場所を変えてみることにする。 「セイン!良いのがある!」 自分の服を選んでいたはずのキャルに呼ばれ、セインは振り返ったが、ハンガーにかけてロープで釣り下げられた衣服が多すぎて、小さいキャルが何処に居るのか一切見えない。 「キャル、何処に居るのか見えないよ!」 「あたしからも見えないわ!良いから来なさいよ!」 だから、何処なのか分からないのだと思いながら、声のする方へ進む。 わさわさと服のカーテンを掻き分けて、ようやくキャルの後頭部を発見する。 「遅い!」 怒られた。 「しょうがないじゃない。見渡す限り服だらけなんだもの」 「それもそうね」 あっさりとお許しを出すと、何着かの服をぴらりと見せる。 「これなんかどおかしら?」 彼女の好みに合った、可愛らしい薄いグリーンのワンピースと、それに合わせたロングベスト。他にもふんわりとした赤いスカートに、ゆったりめの丸襟のブラウスと、シンプルなデザインだ。 これなら、普段着として着用できるし、なによりキャルに似合う。 「うん。良いじゃない」 「でしょー?」 嬉しそうなキャルに、見ているこちらも嬉しくなる。 「なかなかシンプルなものがありませんので、わたしなどは探すのに手間取りましたが、さすがキャル様は女性ですね。直ぐに見つけられました」 妙なところで感心するアルフォードに、セインもくすくす笑う。 「じゃあ、今度は僕のを見つくろってくれるかな?やっぱり、さっきから僕もシンプルな服を探せなくてね」 そんな事を言えば、キャルが丁寧に畳んだ服を重ねながら、パッと顔を上げた。 「セインのもあるわよ?」 「へ?」 どうやら、自分の服を探しついでに、セインの服も取っておいてくれたらしい。 「こっち!」 ぐいぐいと袖を引っ張られて進めば、小さなキャルは服の下を通れるから良いかもしれないが、とっくの昔に成人している長身のセインには、大量の服がバサバサと顔に当たる。 「ぶふ、うえっ!ちょ、ま、まってキャル」 柔らかく質の良い生地とはいえ、べしべしと当たれば流石に痛い。 ちなみに足元も見えない。 振り返ればアルフォードも同じらしく、セインが通った後に揺れて襲いかかって来る衣服の束を、両腕でガードして進んでいた。 「ここよ!」 ようやく丸いティーテーブルに辿り着き、一息つく。 テーブルの上にはキャルが置いたであろう、薄いベージュのシャツと黒いスラックスがある。余計な飾りが一切ない、実にシンプルで着やすそうだ。 キャルが自分用にと寄せた枚数よりはるかに少ないのはこの際気にしない。 「いいね。これなら気兼ねなく袖を通せるよ」 他にも似たようなものが無いかきょろきょろと見まわしてみる。 何せ最近はやたらと服に穴を開けられたり、怪我して汚してしまったりと、些か不本意ながら着られる服の数がめっきり減ってしまって、出来ればあと数着は欲しいところだ。 「これはどうですか?」 アルフォードが、少し襟に飾りのついたシャツを差し出す。 「この襟飾り、取れるみたいですよ」 「じゃあ、取っちゃおう」 「ベストとジャケットもいるでしょ?セインってばこないだ随分とボロボロにしてたじゃない」 「あれば僕のせいじゃないでしょう?」 シャツとズボンを何枚かと、三つボタンのベスト。それとロングジャケットを何とか探し出す。 ついでにキャルもまた自分の気に入った服を見つけて、どれにしようか悩んでいたから、もう、全部持って行けばいいじゃないかと言う事になった。 二人だけで旅していたときなら遠慮もしただろうけれど、今は重い荷物も軽々と運んでくれるクレイがいる。 彼は今、この屋敷の馬小屋に預かってもらっている。大事に世話をしてもらっているようで、毛艶が随分と良くなった。 二人とも、何とかお気に入りの服を探し出して、自分たちの部屋に運ぶ。 アルフォードが二人分の服を一人で持ち出そうとしたので、慌てて引き止めて、キャルの分だけ持ってもらったのは仕方ない、 部屋に戻ってキャルの鞄を開けてみれば、随分とスカスカな状態だった。 「・・・あたしはともかく、セインが片っぱしから着てる物ダメにするから」 はたしてそれはセインのせいなのか? 疑問も甚だしいが、破かれたり汚れて着れなくなった服はその場で処分してきたら、いつの間にか只でさえ少ない服が、より一層少なくなったのは事実だ。 「キャルだって、何着か駄目にしたでしょうに」 「あら。あたしは成長期だもの」 こういう時だけ子供であることを主張するのは如何なものかとは思うが、それも事実なので、セインはじっとりとキャルを睨むだけで我慢する。 「あー、僕も自分で稼げるようになれたらなあ」 溜め息交じりにそんな事を呟いた。 実際、二人の間で稼ぎがあるのはキャルだけなので、セインの私服も宿泊費も、いわゆる生活面で掛かる費用はすべてキャル持ちだ。 「仕方ないじゃない。セインは無職だもの」 「・・・むしょく」 虚しい響きだ。 「今度、公園で曲芸でもしてみようかな」 たしかに、セインロズドの出し入れをして見せるだけで、充分な曲芸だ。 「ちょっと。自分から見せびらかす気?」 うろん気な眼差しを向けるキャルに、ぶんぶんと頭を振る。 「まさか!まあ、セインロズドを見せるだけでお金は集まりそうだけど・・・」 いつ、どこで自分の正体がバレるか分からない。何せセインは、誰もが求めてやまない、あの伝説の聖剣なのだ。 それは本意ではない。 「僕だって、ちょっとは楽器くらい弾けるんだし、歌だって」 「うたっ?!がっき???」 セインの発言に、キャルが目を向いた。 「その反応は何さ?」 「だって、セインが何か楽器を演奏してるとこも歌ってるとこも、聞いた事もなければ見た事もないわ!」 「・・・そういえばそうか」 うん、とひとつ頷いて、一人納得する。 「そもそも、セインが歌った所でどうしてお金が集まるのよ。苦情が来るのが関の山だわ」 「ひどいなぁ。これでも、みんな褒めてくれたんだよ?」 「いつの話よ?」 「えーっと」 首を傾げて考えて、一呼吸置いてから、情けない顔をしてセインが笑う。 「あー、寝る前だから、五百年以上前、かな」 げし! 「痛い!」 涙目になって、セインが足のつま先を押さえて飛び上がる。 小指を思い切り踏まれた。 「そんな昔の歌、誰も知らないわよ!」 「えー、でも歴史的資料にはなるんじゃない?」 五百年も昔の歌だ。滅んで久しいだろう。 「この生き字引!」 「難しい言葉、よく知ってるね?」 実際、セインはこれ以上ない生き字引なので、否定はしない。しかしこんな時、キャルはとても嫌な気分になる。 だって、自分は八歳だ。まだ、たったの八年しか生きていない。 セインとの差を、まざまざと見せつけられている気になる。 しかし。 「聞きたい!」 「は?」 「セインの歌とか、楽器弾いてるの聞きたい!!」 好奇心の方が上回った。 「え。でも」 セインが言い淀むと、扉がノックされた。 「はい!」 びっくりして、思わず声がひっくり返ったセインだったが、扉の向こうのノックをした人物は、気にも留めていないようで、冷静な声が聞こえる。 「セイン様。よろしいですかな?」 この館の当主、ラオセナルだった。キャルが返事を返せば、気の優しそうな老紳士が顔を出す。 「やっと国王が大人しくなりましてな。今日一日、貴方がたの顔を見られないかと思いましたよ。お茶でもいかがです?」 気がつけばそんな時間だった。 が、しかし。 「おじいちゃんはセインの歌、聞いたことあるの?!」 キャルがラオセナルに飛びついた。 「キャル!」 慌てたセインだったが、ラオセナルは気にした様子もなく、はて、と首を傾げた。 「セイン様の歌?」 「そう!昔は皆に褒めてもらったって言ってたわ。聞いたことある?」 「いや、残念ながら、聞いた事はないかな」 答えを知っていたものの、ラオセナルの言葉にホッとする。 「そうだよ。だいたい、ここにはライアーもないだろうし」 「ライアーですか?」 腰回りにじゃれ付くキャルから、セインへと視線を移したラオセナルが、嬉しそうに微笑む。 そこでようやく、ホッとし過ぎて油断した事にセインは気付いた。 「わーっ!!」 さらに言葉を続けようとするラオセナルの口を押さえるにも、距離があり過ぎて手が届かない。 「ライアーならありますよ。多分、貴方様の物がそのまま」 予想した通りのセリフが返って来て、セインは涙目になった。 「こ、壊れもせずに?」 「ええ。定期的にメンテナンスして来ましたし、壊れても修理に出して来たようです。代々伝わる貴方の私物ですからね。ちゃんと音も出ますよ。そんなに作りが難しい楽器ではありませんから」 五百年もの間、封印されたセインを見守ってきた一族だけはある。 「そ、そう?」 「決まりね!」 がっくりと肩を落とすセインとは対照的に、キャルはガッツポーズを取った。 こうして、急遽お茶の時間はセインの歌の鑑賞会となったのである。 「古臭くて誰も聞かないって言ったの、キャルなのに」 「あら、そこまでひどい事言ってないわ。セインの歌なんか、苦情が来るって言ったのよ」 「じゃあ、何で聞きたいのさ」 「そりゃあ、聞きたいでしょう?」 ねえ?とばかりにラオセナルに同意を求めるキャルに、にっこりと頷いたラオセナルだた。 そんなこんなで、中庭に出た一同だったが、料理長が焼いたスコーンに何を付けたらいいか聞いていると言うので、甘いものが大好きなキャルはリクエストをしに厨房に行ってしまった。どうやら果物が沢山入荷したという話を聞いて、好きなものを選びたいらしい。 その隙にと、アルフォードが小さめの楽器を持ってきて、セインに手渡した。 どこに保管してあったものか。手渡されたライアーは、自分が使っていた頃より随分と古びてしまっていたものの、丁寧に扱われてきた事が分かる。 表面は塗装もはがれて木目が出てしまっていたが、それでも艶があり、しっくりと手になじんだ。 「随分大切にしてくれていたみたいだね」 感慨深く呟くと、ラオセナルが嬉しそうに頷く。 「ええ。貴方の物は出来るだけ当時のまま保存しておくように、代々言付かって来ておりましたからね」 その言葉通り、セインの部屋はもちろん、彼の使用していた食器に至るまで。いつセインが復活しても良い様に整えられ続けていたこの屋敷では、そうした行為は当たり前の事として捉えられ、実際にセインが封印から目覚めた現在、初代当主ローランドが存命だった頃と変わらずに保管されていた。 それなりに時間の経過を経て、古くなってはいたが、銀食器などはピカピカのままだ。 セイン愛用のカップは、セイン愛用のスプーンと共に、今も目の前に紅茶を注がれてテーブルの上に鎮座している。 「もしかして、当時の服なんかも?」 「ありますよ」 当然とばかりに頷かれた。 「流石に着用は無理ですが」 「五百年前だからねえ」 アンティークも甚だしいところだが、思い出の品々が、そのまま使用できるのはセインにとっても嬉しい事だった。ただ、申し訳ないとも思う。 「僕の持ち物なんて、使う人もいなかったのなら、棄ててしまっても良かったのに」 「そういうわけにいきません。我が家の教訓でもあり、戒めでもありました。それに、なによりこうして貴方様が再び我が家に戻って来られる口実を、どうしても残しておきたかったのでしょう」 「え?」 誰が?とは聞かずとも、ラオセナルは眉を下げて頷き返す。 「貴方を慕っているのは、何も初代だけではないという事です。かく言う私も、その一人でして」 照れたように笑うラオセナルに、セインもつられて照れ出す。 「あ、あの、その、あり、がと」 「お礼を言うのは私どもの方ですよ?」 「そんな、まさか」 手を振って否定するセインに、ラオセナルは穏やかな声音で続ける。 「代々、私どもはいつか貴方にお目にかかれる日を楽しみにして参りました。初めは贖罪だったのかもしれません。しかし、寝物語に初代と貴方の話を聞くにつれ、次第に親しみへと変わっていったのです。我が一族の過ちの教訓として聞かされていたはずなのに、申し訳ない事ですが」 日々の中で、もの言わず朽ちてゆく聖剣を眺め、先祖の過ちを聞き、その行いを振り返る事によって権力に溺れる事も無く、謙虚に歴史を歩んできた。 たまには破天荒な者もいたが、それでも人の道は踏み外さず、人を大事にし、けして裏切ることは無かった為に、古くからの人脈は幅広い。 オズワルド家の繁栄は、ひとえに聖剣・大賢者セインロズドあってのものと言っても過言ではないのだ。 「僕は、今こうして、ローランドと語り合った場所で、彼の残した君らに会う事が出来て、それだけで嬉しいんだ。あの時。ローランドが倒れた時、僕は何もしなかった。そのせいで、彼の子供たちには辛い思いもさせた。後悔してもしきれないんだ」 少し俯いてしまったセインの頭を、そっと撫でるラオセナルの手は、とても温かい。 「それは、お人が良すぎると言うものですよ。彼らが貴方に何をしたのか。貴方がご自身を封じ込めてしまった原因を作ってしまったのは彼らです。それを、我らは知っています。申し訳ありませんでした」 その言葉に、セインはふるふると頭を振った。 「はは、駄目だな」 泣いているような笑顔しか作れない。 長年生きて来たけれど、こんな時に何を言っていいのか、言葉が見つからない。 今、鏡を見たら、きっとひどい顔をしている事だろう。 「おまたせー!」 元気な声が聞こえ、セインはさっと顔を隠した。 「おや。良さそうなものは見つかったかな?」 「ピーチとランプベリーを混ぜてもらったの!すっごく美味しいんだから!」 ワゴンを引いたトール少年を従えて、キャルは上機嫌だ。 トールが何種類かのジャムとフルーツソース、出来たてのスコーンとバネットーネを並べて、ポットの中の紅茶を各自の空になってしまったカップに注ぐ。 キャルがそちらに気を取られている間に、セインはぺしペしと頬を叩いて何とか顔を引き締めた。 「どうかしたの?」 「何が?」 目ざとく気付くキャルに、そつなく返事を返す。 首を傾げるセインに、キャルは興味を失ったらしく、直ぐにスコーンに手を伸ばし、頼んで作ってもらったのだろう、赤いソースを取ってもらい、ちぎったスコーンにたっぷり塗って、美味しそうに頬張った。 「おいしい?」 「うん!セインもおじいちゃんも、早く食べたらいいわ!」 言いながら、トールにもアルフォードにも食べるように促す。 使用人だからと遠慮する二人を叱りつけ、結局六人での賑やかなお茶会になった。 「そういえば、王様はどうしたの?」 キャルが忘れていた事を思い出した。 「祭典の最中なのに帰りもしないので王城と神殿から苦情が来てね。王女のメアリティア様が迎えに来られて、今、王を説教しておいでだよ」 「ああ、お城で会ったあの美人さんね。・・・って、え?説教?」 半ば拉致同然に王城に連れて行かれた先で出会った、ガンダルフの娘とは思えないような可憐な少女を思い出す。とても父王を説教するようには見えなかったのだが。 「あれで、気丈なところがおありでね。ご兄妹の中でもアークレア様とモントレス様に次いで、王に説教が出来る貴重な人材なんだよ」 意外である。 ちなみに、アークレアとはガンダルフの第二王女で、モントレスは王太子だ。 セインが、少し考えるそぶりをしてから、口を開いた。 「この国の兄妹は仲が良いの?」 「ご兄妹全員仲がよろしいですよ」 それもまた、意外だった。 「僕は権力争いでもあるんじゃないかと思っていたんだけど」 それで、セインを狙った連中が動いているのは間違いがなさそうなのだけれど、兄妹同士の諍いが関係ないとなると、家臣の貴族が暴走しただけか。 「それにしても、王族の兄妹が仲良いなんて、珍しいね」 普通は権力争いに巻き込まれて、ギラギラしているものだ。その影響は母親である妃たちや、彼女たちからの利権を欲する家臣たちの責任であったりするのが常なのだけれど。 「ガダ様ですよ?仲良く出来ない側室はいらないと申しましてな。それに、王妃様が側室皆をたいそう可愛がっておられましてね。喧嘩くらいはありますが、それだけで平和なモノです」 どうやら現国王ガンダルフ二世は、女性を見る目も確かなようだ。 「君の教育の賜物かな?」 「なら、良いのですがね。ガダ様は本当に我が儘ですから」 「その我が儘で国を動かしているのだから立派なものだわ」 キャルの呆れたような呟きに、セインもラオセナルも、顔を見合わせた。確かにキャルの言うとおりである。 「まあ、そういうわけでして。もう少ししたら、城に戻られると思いますよ?」 「じゃあ、遠慮なく聞けるわね!」 ぱっと、嬉しそうにキャルが顔を上げた。 「は?何を聞くの?」 「しらばっくれるつもり?!セインの歌よ!」 「あ」 正直、忘れていた。 というか、忘れていたかった。 「セインの楽器、あったんでしょ?」 ニコニコと嬉しそうなキャルに気押されて、うー、と唸ってみても逃げられそうにない。 にこにこにこにこにこ。 眩しいくらいの笑顔である。 「・・・分かったよ。でも、誰も知らない歌しか歌えないと思うよ?」 「ほう。セイン様の歌ですか。聞けるとは思いませんでしたが、これは思いがけない贈り物の様ですな」 「うわあ。プレッシャーかけないでよラオったら」 ラオセナルにまで促されて、諦めの溜め息を吐く。 歌でも歌ってお金を稼ごうかな、なんて、言うんじゃなかった。まさに口は災いのもとである。 渋々とライアーを構え、試しにポロン、と弦を弾いてみる。 調音もしておいてくれていたらしく、綺麗な音階が響いた。そうなると現金なもので、嬉しくなって しまえば、後は長い指が自然に十本の弦をつま弾きだす。 太古の昔から存在するシンプルな楽器であるライアーは、十本の弦とそれを囲むように成る丸い胴体で出来ており、この胴体が共鳴箱になっている。形は様々だが、片手で抱えられる小さなハープの様な楽器で、音は澄んで美しい。 もちろん、弾き手にもよりけりではあるが、セインはその長身から想像できないくらいに繊細な音色を引きだした。 |
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