酒盛りもひと段落ついたところで、キャルは船の手すりに寄りかかって、空にぽっかりと浮かぶ月を眺めていた。
「どうしたの?」
 自分の着ていた上着を、小さな肩にかけて、セインはキャルのふわふわの金髪を撫でた。
 そっと見上げてくる瞳は、吸い込まれそうなほど大きい。
「月」
 キャルはそう言って、海を指差した。
 真っ黒な海原に、きらきらと波頭に穏やかな光を映し、月が姿を崩してそこにあった。

 空の月と海の月。

 波が船板を優しく叩く音だけが聞こえる。
「きれいだね」
 ぽつりと、呟いた。
「そ?」
「うん」

 キャルの髪の色みたいだ。

 セインはキャルの横顔を見下ろした。
 先程自分を見上げた瞳は、今はもう水面に浮かぶ月を映している。
 少女の小さな手に握られて、封印から覚めたのはほんの数ヶ月前だというのに、もう随分長く一緒にいるような気がする。
 何百年も生きて来て、何千、何万という人々と出会っては別れているというのに、この感覚は不思議で仕方がない。
 五百年前、生きることしか出来ない体で、死のうと自身を封印した。
 あの絶望の中で、二度と再び、この目を開くことはないだろうと思っていた。
 それなのに。
 深い眠りの中で聞こえた声は、あまりにも優しくて。
「セインはかわいそうだから、あたしが争いのない国へ連れて行ってあげる」
 セインの実情を知った後、彼女は泣きそうに笑いながら、無邪気に言った。
「早く見つかるといいわね」
 月を見ながら、キャルが言った。
「・・・うん。そうだね」
 争いのない国などあるはずもないのだと、セインは承知の上で、キャルと旅に出た。
 貧富の差もなく、飢える事もなく、争いもない。
 伝説の楽園、エルドラドを目指して。
 幼なすぎる提案は、賢い彼女らしからぬものではあったが、それでもキャルらしいと言えばキャルらしかった。

「朝にはエルグランド島に到着するらしいよ?」
「そんなにかかるの?すぐ間近に見えるのに、案外遠いのね」
 月光に照らし出された島は、出航してからあまり大きさが変わっていないように思える。
「風が凪いでしまったから。少しかかるそうだよ?ラゾワが言ってた」
「船って、大きくてもやっぱり風がないと駄目なのね」
 キャルはあくびを噛み殺すと、ぐいっと背伸びをした。
「じゃあ、眠ることにするわ」
 目を擦る仕草が、年相応でかわいらしい。
「さっき、部屋を用意してもらったから、案内するよ。君のカバンも置いてあるんだ」
 明日になったら、島へ降りて、何でもいいからキャルが喜ぶことがあればいい。
 伝説の島だというなら、きれいな光景なんかが見られれば。

 たとえば今日の月のような。

 そうして少し、エルドラドに近づけるならそれもいい。
 セインはそんなことを思いながら、船底へ続く階段を、うとうとし始めたキャルを抱えて降りていった。

「キャル、島に着いたよ?」
 翌朝、キャルはセインに起こされた。
 まだ全然眠り足りなくて、まぶたが痛かったが、寝ているわけにもいかないので無理やり身体を起こした。
「今日はいい天気だよ。と、いっても、お日様も昇りきっていないから、断言できないけどね」
 セインが言ったとおり、甲板に上がってみると、上り始めた太陽が、水平線から光を散らして空を染めていた。
「・・・朝焼けなんて、久しぶりに見たわ。たまにはいいものね」
 目を擦りながら、キャルは昇り始めたばかりの太陽を見つめた。
 その太陽とは逆のほうに目を向けると、船を固定させるための碇を投げ込む音や、ガラガラと小船を下ろす 音やらが、あちらこちらから聞こえる。
 帆は既に畳まれていて、頭上に括り付けられていた。
 昨夜あれだけ騒いでおいて、その手際のよさに、キャルは感心した。
「よお、早いじゃねえか」
「タカ。おはよう。これから仕事?」
 声をかけてきた禿げ頭に、セインが気安く返事をした。
「ダンナに手伝ってもらって、昨夜のうちに下作りはしておいたからな。おかげで楽だったぜ。お礼に旨いもん食わせてやるから、楽しみにしといてくれよ」
 いつの間にやら、セインと打ち解けていたらしい禿げ頭に、キャルははっとした。
「・・・ちょっとまって」
「何?」
「今の会話からすると、あのタカっていうのが、この船の料理人ってこと?」
 キャルが眉間に皺を作る。
「うん。料理長だって。昨夜の料理、美味しかったよね」
 嬉しそうに頷くセインに、キャルは予想していてもやっぱり驚いた。
 人は見かけによらないというが、まさにそれだ。
「あの歯抜けの禿げ頭が、料理長・・・」
 ひょろりとして、格好といい体型といい、どう見ても下っ端にしか見えないタカだ。
 そんな男から、昨日の料理が出てきたとは思えない。
 見た目もきれいで、内容も凝ったものが多く、手間隙かけて作られていることがわかるうえに、正直に美味しかった。
「朝食も楽しみだね」
 ほくほくと、セインはうれしそうだ。
「・・・そうね。って、え?ご飯食べていくつもり?」
 意外だ、というようなキャルを、セインは訝しげに見やる。
「だって、楽しみにしてろって言っていたんだから、僕らの分も作ってくれているんだよ?食べなきゃ失礼じゃないか」
「そりゃあ、そうだけど、だってもう島に着いているのに、時間がもったいないわ」
「だめ!」
 急に、声を荒げたセインに驚いて、彼の顔を見上げた。
 珍しく、真剣な面持ちだ。
「な、何よ」
「キャルは育ち盛りなんだから、ご飯をきちんと食べなきゃ!」
 ずい、と、顔を近づけて言い聞かされる。
「分かったわよ、そんなに怒らなくてもいいじゃない!」
 キャルは、セインのこんな顔は、あまり見たことがない。
 驚きと戸惑いで、つい拗ねてしまった。
 そんな子供っぽい自分が、時々嫌になる。
「・・・ごめん」
 素直に謝るキャルの頭を、セインは優しく撫でた。
「僕もきつく言い過ぎた。ご飯食べたら、船長にお世話になったお礼をしに行こう?」
「うん」
 時々、気が早って今回のように食事を後回しにしようとしたり、やらなきゃならないことをせずにいたりすると、こうして怒られている気がする。
 あまり無いことなので気が付かなかったけれど。叱ってくれる人がいるのは、なんだかくすぐったい気持ちになる。
「俺に挨拶なんざいらねえよ?恥ずかしくなっちまう」
 ぬうっと現れたギャンガルドに、セインは眼差しを冷ややかにした。
「ずっと聞いてましたよね?嫌な人だ」
「え?そうなの?」
 気付いていなかったキャルは、先ほどの自分も見られたのかと、ぼっと顔が赤くなった。
「さすがだな。いや、すまねえ。やっぱりあんたたち二人は見ていて空きねえなあと思ってな」
 すっと、キャルを下がらせたセインに、ギャンガルドは片手をあげて制止した。
「おいおい、勘違いしないでくれよ。飯を食いに全員を呼びに来たら、あんたらの声がたまたま聞こえただけさ。セインロズドはとうに諦めてるぜ?」
「なら、いいんですが」
 まだ目を逸らそうとしないセインに、ギャンガルドは溜め息をついてみせる。
「たとえここでキャルちゃんとお前さんとを引き離せたとして、そのあと、どう考えてもあんたが俺の言うことを聞くようには思えんのだがね?」
「それもそうですね。よくお分かりで」
 にっこりと微笑んで、ようやく自分から視線を外したセインに、ギャンガルドは肌があわ立つのを感じた。
「末恐ろしいよまったく」
 各国の首領から恐れられ、荒くれ者の海賊たちをまとめ、海原を駆け巡り、海賊王とまで言われる自分が、これほど恐怖を覚えるとは。
「普段の間抜けな眼鏡の兄ちゃんと、どっちが本当のあんたなんだい?」
 その質問には、セインではなくキャルが答えた。
「何言ってるの?セインはセインだわ」
「・・・そりゃ、そうだ」
 大賢者・セインロズドをして、ただの人、と言ってしまえるこの少女は、間違いようもなく、封印から彼の剣を引き抜いたのだと、あまりにも簡単なキャルの答えに、海賊王は納得した。
「おっと、いけねえ。タカの奴に怒鳴られちまう。さ、飯だ飯!悪いが通りすがりに他の奴らにも飯が出来たって、教えてやってくれ」
 そう言うと、側にあったロープを器用にするすると、登っていってしまった。
「食堂って、どこだったっけ?」
 昨夜は甲板の上で食事を済ませていたので、食堂の場所を知らないことに気がついた。
 誰かに聞こうと、きょろきょろしながら歩き始めたときだった。
 ジャンジャンジャン!
 大きなドラの音があたりに響き渡り、次に。
「オラ朝飯だ!朝飯!」
 そのドラよりも大きなギャンガルドの声が響き渡った。
「あたしたちが伝えてあげなくても十分だわね」
 呆れかえったキャルの声に、セインは笑った。
 他の海賊たちと食堂へ向かうと、大皿に料理が盛り付けられていて、おいしそうな匂いを漂わせていた。
 好きなものを自分で小皿にとって食べることが出来るので、キャルはそれが面白いと喜んだ。
「おいしい!」
 うれしそうに食べるキャルに、タカに頼んで弁当を包んでもらおうとセインは考えていた。
 迷惑かもしれないが、彼なら喜んで作ってくれるだろう。
 そこへタイミングよく、タカ本人が、なにやら大皿を持って現れた。
「どうだい、俺の料理は?」
「すごくおいしい!」
「そうかいそうかい、へへへ」
 キャルの様子に、嬉しそうにタカは笑った。
「で、俺からのプレゼントだ」
 そう言って、持ってきた大皿を、キャルの前にドン、と置いた。
 そしておもむろに、伏せていた巨大な蓋を開ける。
「きゃあ!」
「おお!」
 キャルは飛び上がらんばかりに手を組んで、回りの男たちは驚きの声を上げた。
「タカ、これ・・・」
「スゲエだろ?」
 セインはタカとキャルの嬉しそうな顔に、目の前の白くて大きくて丸い、華やかな食べ物を見た。
 まるでウェディングケーキのようだ、とは思ったが、口には出さなかった。
「作るの、大変だっただろう?」
「なに、皆に手伝わせたさ」
 三段重ねのケーキには、天辺に巨大な、ピンク色のクリームで作られた薔薇が大輪の花を咲かせ、その周りには白いクリームで作られた薔薇やリ ボンが飾り付けられ、食べてしまうのがもったいないほどだ。
「朝からなんだとは思ったけどよ、朝飯食っちまったら行っちまうんだろ?」
 ほれ、と言って、包みを二つ、さらに手渡される。
「弁当だ。昼にでも食ってくれよ」
「ここまでしてもらうなんて悪いよ」
 作ってもらうつもりだった弁当だが、こんなもてなしまでしてもらった上では申し訳がない。
 タカはそんなセインに、パチリとウィンクをしてみせた。
「へへ、世にも珍しいもの見せてもらったしな。聖剣に芋の皮剥きまでさせちまった海賊なんざ、きっと世界中どこを探したって俺だけだぜ?」
 セインは泣きそうになった。
 人の親切が、こんなに身に染みたのは、いったい何百年ぶりか。
「・・・ありがとう」
「あんだよ、照れるじゃねえか」
 タカはセインの背中をばしばしと叩いた。
 キャルの名にあやかった巨大なバラのケーキは、デザートとして振る舞われ、朝だと言うのに瞬く間になくなった。

 楽しくておいしい時間はあっという間に過ぎてしまい、セインとキャルは、島に行くための小船を下ろしてもらっていた。
「もう少し近づけりゃよかったんだが、後は浅瀬になっちまってて、船が乗り上げちまうんでな」
「船を用意してくれるだけで十分だわ。第一印象は最悪だったけど、みんな意外にいい海賊だったし」
「いい海賊、ねえ」
 ギャンガルドは言われ慣れない言葉に、こめかみがむず痒くなる。
「タカ、ちょっと屈んで?」
「?何だい」
 キャルに言われるまま、タカは彼女の顔の高さに自分のそれが合うまで屈んでみせた。

 ちゅ。

 軽い、柔らかなキスを頬に受けて、タカは顔から火が出るほど真っ赤になった。
「お、茹蛸一丁あがり」
「キキキ、キャプテン!」
 そのやりとりに、どっと笑いがあふれる。
「お料理とか、いろいろありがと。ケーキ、今まで食べた中で、一番おいしかったわ」
 キャルの笑顔に、タカは照れ隠しに頭をつるんと撫でた。
「今日は一日よく晴れるぜ。けど、明日にゃちょいと風向きが変わるかも知れねえから、気をつけてな」
 ラゾワが、キャルに手を差し出した。
「今度またおんなじ事をしたら、すっぱり切ってあげるから、覚悟しときなさい」
 微笑みながら、キャルは今度こそ、差し出された手を握り返した。
「き、気をつけるよ」
 逃げ腰のラゾワに、ギャンガルドが追い討ちをかけた。
「もう、男と女を間違えんじゃねえぞ」
「キャプテン・・・」
 再び笑いが起こる。
 もう勘弁してくれといった様子のラゾワに、セインが手を差し出した。
「君とはいろいろあったけど、ここの人たちに会えたのは君のおかげだから、お礼を言うよ」
「いいんだぜ、セイン。フォローしてくれなくても」
 ギャンガルドがまたそう言うので、ラゾワはセインの手を握り返しながら泣きそうになっていた。
 キャルとセインは、用意してもらった小さなボートを漕ぎ出すと、何度も振り返って、クイーン・フウェイル号を後にした。
 あれだけ大勢と過ごすのは、二人にはとても珍しいことだった。
 波の音と、海鳥の声しか聞こえなくなると、妙に静かに感じられた。
「楽しかったね」
「おいしかったわ。タカだけでも連れて来られたら良かったのに」
「そんなことしたら、皆が飢え死にしちゃうよ」
 キャルはよほどタカの料理が気に入ったらしい。
「淋しい?」
「・・・別に?」
「きっとまた会えるよ」
「・・・そうね」
 二人は岸に着くと、ボートを砂浜に上げて、近くの木に満潮になっても流されないように、ボートのロープをくくりつけた。
「さて、どこから回ろうか?」
 がさがさと、キャルがカバンから地図と携帯用の方位磁石を引っ張り出した。
「ええと、この浜辺がここだから、何かありそうなところは、っと・・・」
 キャルが、小さな指で地図をなぞっていく。
「あ、ここは?」
 セインが、今いる浜辺とは逆の、島の反対側に、小さな岬を見つけた。
「・・・うーん」
 渋るようなキャルの仕草に、セインはもう一度聞いてみる。
「・・・だめ?」
「いえ、別にいいのだけど、そこ、あんまり行きたくないっていうか・・・」
「どうして?」
「カルド岬。魂の岬。つまり」
「あ、いい!分かった!言わなくてもいい!」
 嫌がるセインに、キャルはにやりと人の悪い笑みを浮かべた。
「ご名答よ。ここら一帯の亡くなった人を奉る場所がここ。行ってもいいわよ?何か手がかりがあるかもね?」
「ええ!?だめだめ!だってここ、鳥葬にするんでしょ?絶対に駄目!」
 鳥葬とは、亡くなった人の身体を鳥に食べてもらう事によって、鳥に魂を天に運んでもらう葬儀のことである。
 死体が隠されもせずに風に晒されて、鳥についばまれて内臓などがぐちゃぐちゃに散らかっているような、言わば新鮮なそれを見てしまえるかもしれない、そんな場所が、その岬なのだ。
「行かないわよ。まあ、遠目から見る程度には行っておきたいけど。あたしだってそんなとこ、ごめんだわ」
 キャルの言葉に、セインは心底胸をなで降ろした。
「セインなんて何百年も生きてるんだから、見慣れてそうなのに」
「見、見慣れたくないよあんなもの!う、気持ち悪い」
 何かを思い出させてしまったようで、セインは口元を押さえて座り込んでしまった。
「・・・悪かったわ。そうよね。人の死骸なんて、見慣れてしまったほうがどうかしてしまうわね」
 キャルはセインの背中をさすってやった。
 セインの具合がよくなってから、二人はとりあえず島を回ってみることにした。
 結構思ったよりも大きな島だったが、奉られているだけあって道は整備されていた。このぶんなら、一晩泊まれる小屋くらいはどこかにあるのかもしれない。
「あれ?キャル、ちょっと待って」
 セインがキャルの腕を取って引き止めた。
「何か、聞こえない?」
 キャルは耳を澄ましてみるが、鳥の声と、遠くから波の音が聞こえるだけで、別段、足を止めるほど変な音は聞こえなかった。
「・・・別に?」
「そう?僕の聞き違いかなあ」
 セインがそう言って、キャルの腕を放したときだった。
「クエエエエエエエエエエエ!」
「!!!!」
 突如目の前に現れたのは巨大な鳥。
 いや、鳥というべきなのか。
「何あれ足が三本ある!」
「鳥獣ロックバードだよ!まさかこんなところに生息しているなんて!」
 地面に伏せることで一撃目を何とかかわした二人は、第二撃目が来る前に全速力で走り出した。
「鳥葬って、なるほどね!ロック鳥はここでは神の代行者というわけか!」
「あんなのが神様?」
「この一帯の人々にとってはそういうこと!」
 あんなのに食べてもらって、天国に行けるとは到底思えないし、思いたくもないのだが。
「クエエエ!」
「わあ!」
 容赦のない爪の攻撃から身をかわして、何とか隠れる場所を探す。
「もう!セインを引っこ抜いてからロクなことない!」
「ええ?ひどいよ今それを言う?」
 気がつけば、道から外れて森の中を走り回っていた。
「も、森の中だってのに、どうして飛びかかって来れるのよ〜」
「翼を折りたたんで急降下して来るんだよ。飛び立つときは三本の足で地面を蹴り上げるから、翼を広げなくても簡単に空に舞い上がれるんだ」
「そんなうんちくはいいから!セイン、あれ!」
 キャルはセインの持つ、自分のカバンに手を伸ばした。
「ええ?駄目だよキャル、出来ないよ」
「あ、あんたね、この状況でそういうことを言うわけ?」
 走り回って息が上がってきていた。
 追い払えそうにもない上に逃げ場所もないとなると、倒すしかないかと思ったのだが。
「だって神様の代行者を殺しちゃったら街の人たちがこわいよ?」
「う」
 それももっともなので、キャルは泣きそうになる。
「もう!どうしろって言うのよ!」
 カバンはセインに持たせているから身は軽いとはいえ、このまま逃げ回るしかないのだろうか。
「きゃあああ!」
 いきなり横合いから突き飛ばされて、キャルは自分がロックなんとやらに捕まったのかと思ってぎゅっと目を閉じた。



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